文字数が多すぎるとか何とかいって一回の投稿ができなかったので100kmの続きです・・・
 
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こんな感じで大会当日を迎えることになったのです。
当日は朝から雨。天気予報では台風の影響もあまりなく、晴れるとまで予報していたのに・・・
 
バスの中はそういった空気が充満していたように思う。  
 
 
出発!
法螺貝の音に見送られ、100kmの旅に出かけた僕はコースがどうとか時速何キロだとかそういったことは一切考えていなかった。
とにかく歩ききること。行けるとこまで行くこと!それのみ。だったのだが・・・  
 
最初の30kmはトイレ休憩くらいで歩き続けた。おにぎりを食べたかな。
 
後半はすでに足を引き摺って歩いていた。全くペースも上がらないし、他の参加者が平気で歩いている姿を見て、
こんなんじゃ完歩なんて無理かも・・・なんて思いがすでに・・・
 
それでも30kmのCPで笑顔の出迎えを受け、ドリンクとリンゴをいただき、ストッレッチで元気を回復した気がした。(きっと元気になったんだと思う)  
 
あまり休憩することなく、体をほぐしたらすぐに出発した。
 
次は40km! この区間、最も雨と風が酷かった。風で膝が前に進まない・・・前が見えない・・・
 
そういった中を偶々、一緒になった早川さん(Hさん)と歩き切ることができた。
 
痛い足を引き摺って一緒に歩いたHさんとはなぜかこの40kmCPで生き別れになってしまった・・・  
 
あまり休憩を長く取ることもなく40kmCPを出発した時に東の空には大きな虹が!
ダブルアーチになって架かって、自分や参加者皆を励ましてくれているような気がした。
 
振り返ると西の空は真っ青な空!とうとう雨は上がった!
 
だが、自分の足の状態はガタガタ。虹も消え、暗くなる景色に足取りは重くなる一方・・・
 
一体、今どれだけ歩いているのか・・・本当に歩ききれるのか・・・足が痛い。足が痛い。足が痛い。。。
 
 突然、軽い足取りの女性参加者が現れたのはそういう時でした。すたすたと前に出てきて歩いていかれます。
 
ついていこう!
 
強く意思を固めて足を前に無理やり進めます。こんな大会でなければストーカーです、まるで!
 
真ん円の月と海面に映る月光との幻想的な景色を眺めながらひたすら付いていきました。  
 
 
ふとその女性が立ち止まり、腰を降ろされたのをきっかけにまた、ぼくのペースはガタガタと落ちていった気がします。
それでもあと50のCPまでは少しのはずとの思いだけで歩き続けました。
 
果たしてこの先歩けるのだろうか?もうこのままリタイアしてしまった方がいいのではないだろうか?などと考えながら。
 
まだ?まだ?足が痛い。動かない。足が痛い。まだ?・・・50kmCPに着いたとき、正直もうだめだと思いました。
マッサージ受けたところで・・・といった思いもありました。となりでリタイア宣言している人がいます・・・
 
マッサージの順番がきました。  
 
「この足の状態なら楽勝ですよ!これで歩けなかったらただの根性なしですよ!」 その人はこう言いました。
 
こんなに痛い思いをしているのに。
その方は昨年、完歩したそうです。その時の自分の足の状態と比べて、これは全然問題ないようなものだと。
自分は時速2kmになっても完歩できたと。だからあなたは歩けなければおかしいと。
 
この言葉が効きました。「根性なし」で終われるかと!
 
別の女性のサポーターの方にはこうも言われました。
歩けないと思っていても歩き出すと自然とペースが上がってくるのよ。自然とね。だから大丈夫!後はあなたが歩く気持ちがあるかどうかですよと。  
 
 足は相変わらず痛いのに自然と出発していた50kmポイント。
 
次は60km!
 
途中で出会った若者は地元豊橋の人間だと名乗りました。足を挫いたのだけどさっきのポイントでマッサージを受けてリセットしてもらった。
だから頑張れるし、24時間以内のゴールという目標があると。元気な声で話してくれた。
この子と歩けたのはこの区間のポイントだった。思いっきり元気が出て、ペースも上がった思う。  
 
60kmCP、マッサージとテーピングを施してもらい、足を温めるマシンに入り、ご飯も食べ、気分よくスタート。
別に足の痛みがなくなった訳ではないのだけれど元気をたっぷりもらった気分だった。
 
暗い道のり、狭い歩道のこの区間。
 
ここでも出会いがあった。
 
一人ぽつねんと歩いていると後ろから大きな声で歌いながら歩いてくる人が!
さっきのCPで同じタイミングでマッサージを受けていた女性でした。
 「景気いいね」と声をかけると「好きな歌のリズムに乗ってあるいてるんです!」 すごい勢いで歩いている。
よし、付いていこう!またまた、ペースメーカー発見です。しかし、この子のペースは尋常じゃなかった。途中で振り切られてしまいました。
 
70km手前は上り下りのあるゆるやかな丘?だったんだけど、この辺りもうだめかもと何回思ったか。
 
それでも辿り着いたCPでスタッフの方が声をかけてくれました。
 
「ここまできたら最後までいきましょう!」  
 
70のCPで何と40CPで別れてしまったHさんと再会。
追いついたようです。ここからは一緒に歩きましょうか!ということでスタートです。
 
さっきのポイントでもリタイアたくさんいたなぁ。
この区間、非常に辛かったです。
一体どれだけ進んでいるやら。風は強い、足は風に押し返されるし。
Hさんとお互い足を引き摺っての行程はもし、一人だったらきっと歩けなかったんではないかと思います。
 
それでも一歩一歩、ペッポおじさんのように「一呼吸、一掃き」の心境です。
 
徐々に明けていく空に波の音が重なります。すぐ側に海が見えます。
 
80kmCPこの時点で正直、ここまできてもうだめかもと何回目かの諦め感が出てきます。
また、リタイア宣言している人がいました。人はひと、僕はぼくだと思っていてもどっかで引っ張られる自分がいます。
 
何といっても足が痛いんです。膝は曲がらないし、右の足首は腫れて、足の付け根は意味不明です。それでも・・・  
 
とうとう90kmを目指してスタートしたHさんと僕。
 
まともに歩くことができない自分はHさんの邪魔になってはいけないと歩き方を工夫してみたり、道端の棒っ切れを拾って杖にしたり。
この杖が効果的でした。両手に杖を持って歩くと前に進むことが楽になるのです。
 
良く晴れ上がった空の下、僕らの快進撃が始まりました。
 
頑張りました!足はお互いボロボロ、心も折れそうになっているのに・・・
それでも前に前に!心のどっかで90着いても残り10あるんやで・・・って思ってたとしても。
 
僕らは90を目指しました。 そして、とうとう到着しました。90kmCP。  
 
 「うわ~これひどいね」マッサージをやってくれた方の言葉です。
それでも残り時間4時間半。
「行けますよ」この声に後押しされて最後のあがきに出発しました。
最初の出だしは一人でした。Hさんがマッサージ中だったんですが、終わったんならスタートした方がいいとのスタッフの方の声に従いました。
 
最初の3k、約1時間。順調です。そこからしばらくした時点でHさんが追いついてきました。
そこから二人三脚です。途中、両足義足の島袋さんにも追い越されました。
 
僕らを足を止めることをやめずにひたすら歩き続けました。
 
出てくる言葉は「痛い!」「残り○km」  
 
97kmのCP。
 
とうとうここまできました!って気持ちがすごくあったCPでした。
残りがはっきりと頭に描ける距離だということでしょうか。
 
しかし、残り3kmがどんだけ遠く感じるかは歩いた人にしかわからないんでしょうね。  
台風の余波で内海だけども良い波が立っている海岸線をまたしても「一歩、一歩・・・」です。
 
それでも心にすこしばかり余裕が生まれ、この旅がもうすぐ終わるという何ともいえない気分だったような気がします。  
 
色んなものに感謝をすること。 色んなものに生かされていること。 心が折れなければできるんだということ。 ・ ・・  
 
僕はこの旅で一体、何を学んだのかってことは今のいまではあまりよくわかっていないような気がします。
 
それでも確実に大事な何かを与えられたような気がしています。  
 
例えば、この右足首の腫れが引いてしまった時に全てを忘れてしまうのかもしれないとしても・・・  
 
無理やりついてきてくれた僕の体、ありがとう。
 
最後まで支えてくれた僕の靴、ありがとう。
杖になってくれた木の枝と竹の棒、ありがとう。
 
参加者の皆さん、ありがとうございました。
 
スタッフ、ボランティアの皆さん、本当にありがとうございました。  
 
何より一緒に歩いてくれたHさん、感謝しています。
ありがとうございました。  
 
 
僕は何とか完歩することができました。    
 
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あれから5ヶ月が経ちました。
足首の腫れは2ヵ月ほどでなくなりましたが右足の親指の爪が4ヶ月目にはげました。。。
決して痛くはないのですが驚きでイッパイデス。